無借金経営はダメ
こんにちは。エムです。
会社の経営は、現金に始まって、現金で終わります。
『借金はしない方がいい』
『無借金経営を続けている社長は優秀』
と一般的には考えられやすいですが、それは間違っています。
会社を潰さないために、積極的に借金をして『無借金にならない』
ように心がけて経営者こそ、優秀だと思います。
・・・ここまでいくと大げさかもしれませんね 笑
借金をしない企業は、かなり高い収益性のビジネスモデルが必要であり、自分たちの利益だけで会社を存続できる事を世の中に印象付ける存在となります。
しかし、企業は株主の存在が強く、株主が企業に求めるのは
・収益性
・成長性
資金活用し、適切な投資から、収益性の向上や将来の成長を実現することを望んでいます。企業が内部留保だけで事業展開をしようとすると、よほどのビジネスモデルでもない限り、成長スピードや収益に期待しにくい状態となります。
更に増資で資金調達しようとすると、持ち分の比率が下がるという問題が発生し、既存株主が嫌がる事もあります。
コストの安い負債(社債や借金)で資金調達し、投資をしながらスピーディに成長する。これが一番企業に求められる内容となります。
ただ、全てがそうではありません。
日本国内において、無借金経営を好む経営者は多く存在します。
先ず、日本は保守的な特性があります。借金にはメリット、デメリットがありますが、リスク回避したいという考えが先行する傾向があります。
借金には、支払金利の負担が非常に重くのしかかる事があります。
特に経営状況悪化の時には、これほど辛いものはありません。
バブル崩壊、リーマンショック、コロナ禍の時には、それで破綻した企業は少なくありません。
こういったイメージが借金に対する見方を狂わせ、借入に対するブレーキをかけている要因となります。
特に株式公開していない企業やオーナー系の企業は更に別の要素が働いてきます。
日本は、銀行から借り入れをする際に、創業者の個人保証を求められることがベターです。即ち、創業者の私的財産を賭けて経営を行う覚悟で借り入れをしなければならない状況となるので、経営者からすると出来る限り無借金で経営していく事の方が安心できるのです。未公開企業やオーナー会社の殆どは経営者が大株主となるので、急な成長よりも安定した事業継続を優先するケースの方が多いでしょう。
銀行の介入から自由となり、倒産リスクを考えながら利益を元本返済に回して、無借金経営をする事は安定という意味では間違いではないのでしょう。
しかし、『経営に安住の地はない』という言葉があるように、いつまでも並行に走れる企業はこの世に存在しないと考えます。
PPM(プロダクト・ポート・フォリオ)でも表していますが、製品ライフサイクルと相対市場占有率から成り立つ、問題児、花形、金の成る木、負け犬という4段階で考えても、やはりビジネスが上手くいっている間に投資を行い、次のビジネスに繋げていかなければ生き残れない時代です。
簡単に言えば、上手くいってる事業もそのままの状態で永遠に続くわけではなく、新しい事業を生み出し、前に進めるのは必ずキャッシュは必要となります。
それらを内部留保していたお金だけでなく、ある程度の借り入れを行いながら事業を成功させ、銀行に返済していく経営が何かあった時に一番強い会社であると考えます。
売上があっても、利益があっても、現金が無ければ経営は続きません。
何かをしなければならない状況で1億円が必要だと思ったときに、銀行は新規で融資するよりかは、今までの付き合いがあって融資する方が信用度が違うので結果の違いは目に見えています。
また、1億円が必要だからという事で内部留保で頑張って貯めるには、税金などの関係で2億円は利益として残さなければいけません。
しかし、銀行から借り入れを行えば、僅かな利息で1億のキャッシュが手元に入ります。そして、金利の支払いは利益を下げる事になるので、節税対策にも繋がります。
無借金経営を美化する事で、適度な借金をしない経営は大事な事が見えておらず、飛躍的成長は難しいと思います。考え方を変えていかないと、今回のパンデミックのような事が起こった時に資金面での体力切れから、破綻する企業はどんどん出てくるかもしれません。
銀行をビジネスパートナーとして、負荷を適度に掛けながら二人三脚で経営する事が一番望ましい姿なのです。